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Interview

#03INTERVIEW(1/3) スキーガイドを目指す理由

「今考えているのは、スノーボーディングと山を融合したもの。
自分にしかできない仕事を作り出したい」

ガイドになろうと思ったのは、正直な話をしますと、家庭を支えたいと考えたからです。生活をする上で、自分が今までやってきた経験を少しでもアウトプットできる職業は何かと考えた時に、もしかしたら、それはバックカントリーガイドなのではないかと。それがガイドを目指そうと思った理由です。

19歳から数年間は、夏の間は室堂の雷鳥沢ヒュッテで働きながら、雪渓で滑っていました。その後、プロとして大会を転戦した時期を経て、再び立山に戻ってきたのは5、6年前のことです。その時、バックカントリースノーボードに出合いました。何年間も立山にいたのに、それとは全く違うアプローチで立山を滑る世界があった。それでいろいろ調べているうちに、友達からビッグマウンテンスキーヤーで、現在国際山岳ガイドの佐々木大輔さんを紹介されたんです。

最初、大輔さんからは「道具を持って北海道においでよ」ということで、さっそく北海道に渡ってトレーニングツアーに連れて行ってもらったんです。一番最初に大輔さんにバックカントリーを教わってホントに良かったと、今でも思います。もしもあの時、自分であいまいな感じで始めていたら、もしかしたらもう死んでいるか、大怪我をしていたか。ここまでは来られていない気がします。

それ以後、立山にはまとまった日数で入りました。最初は先輩と2シーズン、その後は今も一緒に動いている後輩達と。いつもテントを張って7泊から10泊、20泊した年もあります。天候がめまぐるしく変わる場所なので、良いタイミングに当たる確率を少しでも上げるには、長期的に滞在するしかない。そうやって、見えている範囲から少しづつ滑っていくスタイルで活動してきました。

Photo:Toshinobu Nakai

冒険心というか、知らない立山をもっと知りたい。もっといろいろな景色を、いろいろな角度から見てみたい。そう思って始めてから室堂から見える範囲はだいたい滑り、表側から見えない斜面にも足を延ばしました。また、剱岳への憧れがどうしても強かったので、池の平方面を含めて剱岳にも通いました。

初めての斜面にトライするわけですから、基本的には行ってみて無理だったら絶対に滑らないと決めていました。たとえば、アプローチ中に足がすくんだり、へそのところがギュッとなったり、体がこわばるように感じたら……。少しでもネガティブな要素があるうちは滑らないと決断して臨んでいました。

長期滞在になるから食糧はドライフーズがほとんどで、毎日毎日アルファ化米と乾燥味噌汁。10日以上も、これは何かの禊か? と思うほど(笑)そればかり食べていました。それでも僕らはとにかくがむしゃらで、なにしろやる気満々。周囲からすれば、多少危なっかしいと思われた部分もあったと思います。

Photo:Daisuke Mizuma

Photo:Masato Morikawa

けれども、やってる本人たちはいたって真剣で、酒も一切口にせず、毎朝3時に起きては、滑り終えるのが18時から19時。そして早寝してまた次の日に備えるといったように、けっこう集中力を切らさずしっかりやれていたつもりです。ぜったいに事故なんか起こすもんか、という強い気持ちを抱きながら。

先輩ガイドのテールガイドを務めてから3シーズンが経過しました。今はJMGA(日本山岳ガイド協会)のスキーガイドステージIIの資格取得を目指しています。来シーズン、しっかり資格取得できたら、独立したガイドとしてやっていきます。今、考えているのは、スノーボーディングと山を融合したもの。当然、バックカントリーガイドと登山ガイドが仕事のメインですが、それだけじゃなくゲレンデでのスノーボードレッスンや、スノーボードの楽しさを伝えることをリンクできたらと。自分にしかできないこと、そんな仕事を作りたいですね。

いずれは剱岳のガイドをと考えていますが、ただ自分のキャリアを考えれば急に剱岳を案内できるようにはならないので、そこは偉大な先輩方に教わりながら、しっかり時間をかけて良いガイドができるようになりたいと考えています。

 

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PROFILE

水間大輔

水間大輔

みずまだいすけ◎1978年、富山市生まれ。ハーフパイプ競技でのスノーボードプロ活動を経て、富山県立山山麓をベースにバックカントリーフィールドで活動中。奥深い剱岳や、立山での長期間に及ぶテント泊で活動を続けた成果を発信しつつ、立山でのスノーボードガイドとして生きていく道を選んだ。3シーズンのテールガイド経験を経た現在、日本山岳ガイド協会認定スキーガイドステージII資格の取得を目指している。

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