そこにしかない、を求めて
世界を翔けるロッククライマー
一宮大介の飽くなき挑戦
Interview with
DAISUKE ICHIMIYA
唯一無二の存在を目指し、
自由な発想で、さらなる高みへ。
一宮大介と、その夢に共感する
MOUNTAIN HARDWEARの挑戦に終わりはない。
―外岩クライミングとの出会いは?
「高校で山岳部に入り、1年生の時に大分県の本匠にあるクライミングエリアへ行ったのが始まりでした。最初の頃は“前できなかったことが次はできるかもしれない”という感覚が楽しかった。指はズタボロでしたけど、“なんでこんな楽しいんだろう?”って。不思議な感覚でしたね」
― 10代から国内外のコンペにも出場し、2015年には日本代表権も獲得されました。そこからなぜ、外岩中心の活動へとシフトされていったのですか?
「僕が憧れるクライマーというのは外岩で強い人たちなんですね。もちろんコンペシーンで活躍する選手も凄いんですけど、それよりも“こんな傾斜登れるの!?”とか“あんなホールド持てるの!?”とか、彼らが岩場に挑んでいく姿から受けた衝撃がデカくて。“コンペに出てる場合じゃない”って思いが強くなっていったんです」
― 大学進学で関西に出てからは、2017年に退職されるまでクライミングジムに勤務されていたそうですね。「ジムで働きながらクライミングを続ける」という選択はなかった?
「それを自分のクライミング人生の終着点にしたくなかったんです。それに、課題を登れない時の言い訳を作りたくなかった。“ここで終わりたくない”という気持ちが強かったですね」
― その後、数々の高難度課題を攻略されてきましたが、最も印象に残っているのは?
「2017年に登ったコロラド(アメリカ)の『Jade』ですね。現在グレードv14のこの課題は、1回目のコロラドツアーの時に失敗していたのですが、2回目でなんとか登れました。『Jade』は課題の内容も、岩のカッコよさも五つ星。何より去年一番頑張った課題でした」
― 同じコロラドツアーで完登したv16の「Creature from the Black Lagoon」よりも?
「クライミングはグレードじゃないって言いますけど、まさにそれを痛感しましたね。また、海外に出てみたことで『ボルダーとはこういうもの』という固定観念が崩されて、自分が今までやってきたクライミングがいかに狭いものだったかを感じました。日本にいたら登れない種類の課題が世界にはたくさんあるんだなって」
―ロッククライミングの魅力とは? 挑戦したことがないクライマーに向けて、伝えてもらえますか?
「まずはロケーション。課題は一つ一つ、世界中でそこにしかなくて、同じものは存在しないんです。だから僕の場合は、『Jade』に登るためにコロラドへ行く。遠いし、大変だけど、やっぱり行きたい。そういうモチベーションを与えてくれるのが外岩だと思います。ジムの課題も同じかもしれませんが、ある程度の経験者ならば、どんなルートかだいたい想像がつきますよね。外岩はそれがわかりにくい。『気づき』の大切さを身に染みて感じるし、自由なんですね」
―「外岩は怖い」と感じている方もまだ多いかもしれません。
「確かにいろいろなリスクはありますが、それ以上に『岩の上に立った時の気持ちよさ』がすごく大きいです。まずは一度、行ってみてほしいですね。最初は気候のいい春や秋がオススメです。僕は外岩に行き始めてから、クライミングの奥深さを感じるようになりました。ジムでは絶対に出会わないホールドがたくさん存在するし、足の置き方もジムと岩場では全然違う。クライミングはパワフルなスポーツというイメージがありますけど、実はとっても繊細なところが好きですね」
― 今日も身に着けているMOUNTAIN HARDWEARの印象はいかがですか?
「様々な気候の中で登るんですけど、ウェアの機能性は抜群です。あとは使いやすさ。すべてのアイテムがクライマーのことを考えて作られていて、ボルダリングだけじゃなくリード、ビッグウォール、アルパインなど、あらゆるクライミングシーンで活躍すると思います。それと、カッコいいのも大事。周りのクライマーから『いいね』って言われるような、絵になる服を着たいですから。Tシャツやフーディーなんかは街で着てもカッコいいですよね」
― 最後に、2018年の計画を教えてください。
「10月、11月に再びコロラドへ行って、『Hypnotized Minds』に挑戦しようと思っています。僕にとっては2本目のv16。グレードが絶対的に確立されている課題なので、必ず登りたいです」
― 将来の夢は? 世界最難グレードv17の「Burden of Dreams」(フィンランド)に挑戦する意思はありますか?
「ナーレ(・フッカタイバル)が4年の歳月をかけて攻略した課題ですからね。今の僕じゃまだ早い。もっともっと努力をして、5年以内にはチャレンジしたいです。将来は、誰もやったことがないことをやり遂げたい。そのために挑戦を続けます。そして、60歳になっても登っていたい。一生クライミングをして生きていくつもりです」
PROFILE
一宮大介(ロッククライマー)
外岩の高難度課題を次々に登る実力派クライマー。2009年よりクライミングを始め、外岩とコンペの双方で結果を残す。近年は外岩にフォーカスし、2017年は宮崎県・比叡山の「ホライゾン」(v15)を小山田大、白石阿島に次いで完登。同9月にはアメリカ・コロラドの「Creature from the Black Lagoon」を登頂し、v16課題を初めて完登したアジア人としてピオレドールアジアにノミネートされた。
[外岩での主な成果]Creature from the Black Lagoon v16 第4登 /ホライゾン v15 第3登/シャンバラ v15 第3登(愛知・豊田) /ヴァニタス v15 第3登(愛知・鳳来)/Jade v14(コロラド)
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