LINES

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#06 STORY

HIKE & RIDE.

Takemitsu Ueno,Shikaichi Ueki,Toyokazu Nakano
Hakuba Backcountry, Nagano, Japan

Photo : Yoshiro Higai
Text : Chikara Terakura

SCROLL

SNOW CAMP

2017年1月中旬。上野岳光と植木鹿一はガイドの中野豊和と共に白馬の山中にいた。植木は2月上旬に迫ったJAPAN FREERIDE OPEN開催準備のため、カナダから帰国して白馬に長期滞在中だった。実行委員長である植木は多忙な日程をこなしつつ、LINESの仲間とのセッションのためにスケジュールを調整していた。同じ年の植木と上野は数年ぶりの再会だった。
上野は、植木を自分の地元である野沢温泉に招きたいとも思ったが、彼の多忙なスケジュールを考えると、白馬で一緒に滑るほうがなにかと都合がよかった。白馬のゲレンデでフリーライディングを楽しみつつ、コンディションが合えば雄大な白馬のバックカントリーに出たいと考えた。カナダで強いスキーを身に付けた植木に、日本屈指の山岳エリアを体験してほしいという気持ちもあったのだ。
狙いは標高を上げたハイアルパインエリア。山の上部に張ったテントをベースに、日の出のタイミングで朝焼けに染まった斜面にトラックを刻めれば最高じゃないか。そこで山岳ガイドであり、同じLINESのチームメイトでもある中野にサポートを依頼したのだ。
上野と植木が合流した日から2日間は、折からの豪雪で山に入れるコンディションではなく、スキー場の圧雪も追いつかないほどゲレンデ中がパウダーに覆われていた。ふたりはリフトを使ってゲレンデパウダーを滑った後、小一時間ほどハイクアップしてブナの樹林帯にたまった深すぎるパウダーを繰り返し楽しんだ。

チャンスが訪れたのは3日目のことだった。駐車場で中野と合流し、次第に回復傾向を見せていた山に入った。ハイシーズンの雪山テント泊はなにかと荷物がかさむもの。食糧は軽量なドライフード中心だったが、装備は厳冬期の高山に合わせたものが必要だった。4シーズン用テントやバーナー、燃料、クッカー。標高の高さを考えるとシュラフもマイナス20度以下のレイティングが求められた。そうした生活道具に加えて、厚手のダウンジャケットとダウンパンツ、テントシューズやグローブを加えると、70リットルのバックパックはパンパンにふくれあがった。それ以外にスノーセイフティギアやクライミングスキンなど普段のバックカントリー用ギアはバックパックに外付けして登った。

降雪は止んだものの風は相変わらず強く、上部はまだ鉛色の雲に覆われていた。そこで当初の予定地よりも少し標高を下げ、風をかわす樹林帯にテントを張った。翌朝の行動にはやや不利な位置だったが、吹きさらしの台地でひと晩耐え忍ぶよりはるかにマシ。翌朝少し早く起きて、そのぶん登り返せば済むことだ。
中野の読み通り、日没近くになって風は止んだ。テントから外に出ると、空には青空が広がり始めた。次第に深みを増していく夕暮れに包まれながら、翌朝からの行動に思いを馳せる。凍てつく冷気は肌を刺すほどだが、それはなんともいえない幸福な時間だった。

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